羽田空港
君は一度だけ振り返り ゲートの中へ消えた
僕に向けた 手のひらから 掴めたはずの未来 こぼして
手荷物はカバン一つだけ 片手でも足りるほど
大事なもの捨てた事で 引き換えに明日を取り戻した
ねぇ 君が空からこの街を見たら
どんな風にその目に映るのかな
僕らを育て 奪った世界
間違わずに 生きていたいんだ 君は帰る事を選んだ
頷くしか 出来なかったのは 正しいのが君かもしれないからだ
夢の大きさに負けそうで 何度も語り合った
入り口すら見つからずに それでも出口だけ目指した
ねぇ 独りぼっちに気付きたくなくて
笑い声を 夜通し浴びせあって
枯らした声に救われたよね
間違わずに 生きていたいんだ これで良かったんだと信じたい
君が僕に 託したとしても ごめん 僕は おそらく背負えないけど
品川 芝浦 都会を蹴って
君は遠く空へと 飛び立ってった
ターミナルに残る サヨナラの音
消えてしまう前に戻ろう
モノレールが滑りだした 一筋のレールをつたって
綱渡りで僕を運んでく 君が蹴った都会へ
間違わずに 生きていくよ ぎゅっと握りしめた両の手
僕の名さえ知らない東京に
あかりが今 灯っていく 「ただいま」を呟こう