ひと夏の出来事
君のあの麦わら帽子
風に吹かれ飛ばされてった
列車の窓 あかね空
一瞬の夏の終わり
ホントの兄妹みたい
そう言われて育って来た
君といつでも一緒にいるのが
普通と思ってた
でもなぜか 急に僕は
手を繋ぐのが恥ずかしくなったんだ
何も変わらない二人だったのに
浴衣の君にハッとしてからかな
君のあの麦わら帽子
僕がもっと手を伸ばせたら
風にそう飛ばされずに
終点へ走り続けてた
大人になるってそういうことか
ふと思い出した切なさ
僕が好きなアイドルを
君は好きじゃなかったね
それが嫉妬のようなものだって
ある時 気づいたよ
制服を着始めた頃
どうでもいい秘密が増えて来た
僕たちの背丈も かなり差ができて
言葉遣いも よそよそしくなった
僕は無口になっていた
君が悪いわけじゃないんだ
これが初めての恋と
いつの日か誰も知って行く
線香花火が寂しく消えた
あの夏休みが懐かしい
どこへ向かっていたのか
覚えていないけれど
走る列車の窓 開けなければ
ずっと あの日のまま
夢を何度見たことだろう
いつも同じ場面ばかりだ
なぜに僕は 風の中
この手を伸ばさなかったのか?
君のあの麦わら帽子
僕がもっと手を伸ばせたら
風にそう飛ばされずに
終点へ走り続けてた
大人になるってそういうことか
ふと思い出した切なさ