遠くまで
稲葉浩志
歩こう肩をよせて
どんより滲む空の下 二人
呼んでくれ 好きな呼び名で
たわいのないこと それでいい
しゃべろう
遠くまで 僕らはゆける
強い雨も 凍る風も受けながら
目を覚ませば すべてがまぶしい
花の色も 街の声も
涙の理由さえも
悲しむことでも 喜ぶことでも
強くなってゆけるよ
ひとつずつ 少しずつ
歩こうよ前をむいて
たまに見つめあい
そして恥じらって
今にも何かが 壊れそうな
本当にそんな世界だとしても
遠くまで 僕らはゆける
強い雨も 凍る風も受けながら
手をのばせば すべてが近づく
消えそうな 思い出も
おぼろげな未来も
逃げるようにじゃなく
夢を追うように
進むこともできるよ
一歩ずつ 少しずつ
車についた小さなすりキズを
気にしてオロオロ
生きていくんだろうか
これからずっと
自分で自分を責めたりしながら
めくるめくニュースから
逃げられずに心を揺らして
それでも遠くまで 僕らはゆける
失くしても 傷ついても
自分であれ
大切なものは なんなんだろう
忘れないで 笑いながら
歌いながら ただゆけばいい
いつでも景色の片隅には
君が映っているよ
花のように 微笑んで