幸福への長い坂道
浩志 稲葉
空へと向かってのびる
長い坂道のぼれば
その先に幸せがあるはずと
いつか誰かに教わった
要らないものを捨てながら
汗をかいて
錆びついて悲鳴をあげる
自転車をこいだんだ
ああ そして何か
素敵なことが始まる
そう 信じたんだ
遠ざかる意識の中で
君がにっこり笑いかけ
また明日と手を振った
そうして一人夢から覚めた時は
ただひたすら胸が痛い
揺らぎ続ける心の奥の方に
本当に辿り着きたい
場所があるというのに
ああ そして何か
素敵なことが始まる
待っていたんだ
はかない期待を抱いて
ああ きっといつか
素敵な日がやって来る
そう 信じたんだ
太陽に手をかざして