空を飛びたいと
rionos
空を飛びたいと あの子は言った
孤独でおなかを満たし
やせた指をつなぎ合った
白砂の色した こどもたち
君も僕も きっと
真水と汐水のちがいで
そこに何の意味があろう
うまく涙が流せるまで
となりに座っているよ
何千年かかってもいい
大事なこと 言えなかった朝
ひとり空を飛んでしまった あの子
小さな家をつくろう
甘い実のなる木を育てて
テーブルひとつ囲もう
頬をぬぐう風と やさしい毛布と
つながる星々のように並んで
この世界で眠ろう
そんな暮らしを いつかしよう
ずっと 忘れていたけれど
幸せになってもいいのよ 僕たち
羽をたたんで 人のほうへ
一緒に帰ろう 光のもとへ
すくわれるのはいつも そうだ
僕の代わりに 泣いた君よ