絶望年表
健全な体に 健全な心が宿るのなら
不完全なまんまで産まれてきた私の身体は
どんな心を 宿すのだろう
名は体を表すというのが本当だとしたら
勇気ある獣の名前を授かったはずなのにな
どうしてこんなに 臆病なんだろう
パパが私をぶつのは きっと 全部 愛でした
ママが私を見ないのも きっと きっと全部 愛でした
だから私はいつでも 幸せな子どもでした
不幸に気づかないことは 幸せでした
命は愛の結晶です
粗末にしてはいけません
正しく響く祝福の言葉
それなのになんだか苦しいな
違う姿に憧れて 違う姿に着飾るたびに
変われないことに気づいてしまうだけ
ここじゃない場所を探して ここじゃないどこか覗くたびに
どこにもいけないことに気づくだけ
放り捨てられたランドセルと散らばった教科書
私も飛び降りたら あんな風にバラバラになるのかな
大切なものは 入ってないし
学校は嫌い だけど好きな場所があるわけじゃない
お家の中は嫌い 名前のないどこかの誰かに
なりたかった なりたかった
友だちも少しできたよ そうじゃない人も増えたよ
好きな人は少ないよ ほとんど他は嫌いだよ
優しい人は多いよ だけどみんな嘘をついてるよ
私が嫌いな私だけ変わらないまま
悪いことばかり覚えて
手首切るのにさえ飽きて
それでも動く心臓は不思議だ
誰も頼んだりなんかしないのに
違う姿に憧れて 違う姿に着飾るたびに
変われないことに気づいてしまうだけ
ここじゃない場所を探して ここじゃないどこか覗くたびに
どこにもいけないことに気づくだけ
ただ普通でいたくて
当たり前でいたくて
欲しい物なんてなくて
したいことだってなくて
叶わないこの願いの
虚しいこの気持ちの
そばにいつでもあった
旋律と言葉があった
甘く囁くように
激しく喚くように
何も救われなくても
ただそこにあった
もしも許されるのなら
もしも許されるのなら
名もなき同士寄り添って
眠りについたカタコンベ
静かに響くレクイエムのような
優しい歌を歌いたい
違う姿に憧れて 違う姿に着飾るたびに
変わらないものに気づいてきたんだよ
誰かの傷を癒せるとか 誰かの闇を払えるとか
大それたことなんて言わないよ
痛みが少し治まるまで 暗闇に少し慣れるまで
それまで そばにいられるぐらいでいいよ