Stippling
Yohei Matsui, Rioka Kanda
淡い三日月の夜 風が筆を走らせて
薄紅の雨を写し出した景色眺める
この世は孤独と刹那の
重なることのない雫の斑か
それでも 瞳は滲んで
一つ一つの色を混ぜていくのだろう
風が吹き込むほどの
隙間なら気付かれない
春の嵐に包まれ 傍にいるうちは
誰もが留めたいと願い
重なる時を閉じ込めた琥珀を
集めた いくつもの欠片
セピア色しか描けないと気付くだろう
交わらない無数の道さえ
流れ行く河 そのほとりで
並ぶこともあるなら
この世は孤独と刹那が
描く点描の絵なのだろうか
それでも 瞳は求めて
春の嵐の様に
数多の色達を混ぜていくのだろう
薄月の夜の道
付かず離れずの影も
少し離れて見たなら
一つに見えるだろう