灯台より
肩ごしにめくるページのすれる音で
途切れてしまいそうになる細い眠りの糸を
たぐりよせて 丸くあなたは束ねて
また沈んで行く
くちびるにあたるボタンのでこぼこ
物語はあともうすこしで終わりそう
わたしがここで息をしていること
どれだけばからしいのかって知ってる
息をとめて 静けさに気づいてわたしを探したら
目の前に見つけたなみだが浮かんだ海が見渡せるよ
ここからなら
この退屈な灯台へ来て
おみやげ話 たくさん持って
嵐が来たらあきらめてだまって
うたた寝に身を預けたあと
鼻と鼻で話し合うことにも飽きた
ふたりにはもっといい方法が思いつく
神様も呆れて祝福の柏手
合図したらひとおもいに
息をひそめ照らし合う 閉め忘れて開いたままの窓から
伸びる陽をかきあつめ やわらかく残った歯の跡が消えないうちに
雷や流れ星や つばめの青さ 軽さ
数えきれない世界を忘れて
仕草に釘付け
あなたは悔やんだりする
息を止めて 苦しくなって我慢できなくなるまで
生きるように仕向けて なんの理由もないままに
耳をすましても
さわがしい予感が聴こえないね ここからじゃね
ながくながく
息を止めても あなたはかまわず夢のど真ん中
息を止めても