漆黒、十五夜
コウ 柴咲
紡ぐ宵闇の橋見返る混沌の泉
現世の誘いを断てば
袖振り我が身宙に召される
憤り挑み果て弱り
それも全て懐かしい
愛でて見守り育む
ただ在ることの廉潔
永劫溜まりゆく
罪も罰も同じ力が宿り
時代はうつろいで
やがて灯る十五夜の月
夜露吐息に揺られ
望みを託しこぼれる
寒さをしのげばいつか
静かに都色づいてゆく
創り壊しまた創り
我にかえるは夢のあと
無為の言霊を借りて
意をもつことの必然
数多の命が悟り天を仰いで笑いあう
千慮の一失も
やがて宙で消えない花火
永劫溜まりゆく
恐れ怒り欲や無償の愛
時代はうつろいで
やがて灯る十五夜の月