気化 (Kika)
吐いた息は悪意のように広がって
眼をやれば 樹氷のような細い指
冷たい声を聞かせて
諦め気味で火傷した頃をふと思い出していた
そうだろう どうして今はこんなにも
重いドアを押し開けたその瞬間に
すれ違い様に何かをみたよ
飽和を解いたら
直ちに別の色で塗り重ねているのが見える
そうだろう そうして朝日に眼を細めている
何故か思い出したくない想いが
離れていけ その距離が見飽きた砂の色を変えていく
ほらもう何も見えない
言ってはいけないことが多すぎる2人
奇麗なまま歪めて 描きながら忘れて
そうだろう それならそれで良いのだろう
何故か
あの愛の行方は判らない
あの愛の片鱗も気化して
何もかもが気化して