天狼
Shinji Tanimura
哀しみ背おいて家路をたどれば
遠くにゆらめく憩いの 灯
心に冬の凪ひきずる 鎖をほどけば
ほどけばその足も痛まぬものを
あ−年老いた 白き 狼よ
誇りを今すてて帰れねぐらへ
群れから離れて 掟を逃がれて
薊を 枕に 儚きまどろみ
心に冬の凪星降る砂丘に
いつかは いつかはその命終れと祈らん
あー年老いた 白き 狼よ
その身を横たえて眠れ瞬時
心によみがえる 嵐にその瞳を
ひらけば ひらけば空を裂き 輝く天狼
あー年老いた 白き 狼よ
憩いを今すてて叫べ
夜空に志があるならば 叫べもう一度