影になって
Yumi Matsutoya
なんて不思議な光を浮かべた霧の夜なの
どこへ続くの 街路樹の影たち
指が痛いほど 残らずダイヤルしたけど
呼びだしの音だけが耳の底にくりかえす
こんなときはすぐにワードローブちらかし
くたびれたシャツを選んで
外へ出てゆこう 少し背中まるめ
踊るように歩こう
最終の電車が響き残して流れた
いちばんなつかしい遠いイメージのように
冷えだした手のひらで包んでる紙コップは
ドーナツ屋のうすいコーヒー
真夜中は全てが媚びることもなく
それでいてやさしい
むかし確かにどこかで出逢った一枚のネガ
淋しい心から きみを自由にする
かるく透き通らせて
むかし確かにどこかで出逢った一枚のネガ
淋しい心から きみを自由にする
かるく透き通らせて
なんて不思議な なんて不思議な霧の夜なの
どこへ続くの 街路樹の影たち