自転車と夏と
もと子 梶原
昼下りの街は
陽気なざわめきと
眩しい日射しに
つつまれて ほら 嬉しそうよ
光る自転車の
ぺダル踏んで走る
二人の影が ほら
アスファルトの上 追いかけっこ
もっとゆっくり走りたいの
二人で風を感じたい
あなたのうしろ姿だけを
見ている夏
緩やか坂道を
ひと息に降りたら
晴れた空の下で
東京タワー 退屈そう
あなたはさっきから
口笛 吹いている
二人の影も ほら
なんとなく少し離れてるの
思い出もまだ 何もない 二人なの
ちょっぴり淋しい
あなたのうしろ姿だけを
見ている夏