それぞれの渚
あゆ子 石川
誰かが作った砂山を
壊して引いてく波のあと
似せ物みたいな貝殻が
ポツリと残るよ‥・
靴を脱いでズボンの
裾を折り返してる
自分がなんだかおかしくて
波のハードルを越える
小麦色の少女達
一人きりの僕を笑っている
ああ やっぱり誘えばよかった
君を誘うつもりで
外しかけた受話器を
何故だかそのまま戻してた
確実に時は過ぎて
何げなく年をとって
夏と愛の距離を測るのも
ああ たまには悪くはないのさ
眩しい陽射しをよけながら
いたずらみたいな天気雨
あわてているのは服を着た
僕だけみたいさ
確実に時は過ぎて
何げなく年をとって
夏と自分の距離を測るのも
ああ それほど悪くはないのさ