「じゃあね」が切ない
「じゃあね」ってなぜ 切ないんだろう?
また明日 君に会えるのに
学生街の色褪せた喫茶店で
ホットケーキ 半分こにしながら
メイプルシロップのその甘さ
これが幸せだと思う
アンティークな壁時計の長針が
気づかぬうちにあっと言う間に進んで
あれ 壊れてるんじゃないか
そう くすくすと笑った
マスターなんて呼び方
今時 誰も言わないけど
カウンターの奥から見守っているようで
会釈した
「じゃあね」がなぜ切ないんだろう?
何時間 君と会えないだけで
繋いだ手 ゆっくり離して
その温もり 消えないように
中目黒の改札まで送って
人の波の邪魔にならない壁際で
さっきの喫茶店にいた客の
どうでもいい話をした
話題が途切れそうになると
ふいにどちらかが強引に
思い出したかのように引き留めてしまうよ
繰り返し
「じゃあね」なんて手を振ってみたけど
なかなかここから立ち去れないよ
思いつく口実を並べ
できるだけ一緒にいたかった
まるで磁石のように
惹かれあったらくっつくだけだ
恋とは名残惜しさのこと 何度も
振り向いて消えて行く
君の小さなその背中が
名前を呼びたくなるほど愛しい
「じゃあね」ってなぜ 切ないんだろう?
また明日 君に会えるのに
「じゃあね」がなぜ切ないんだろう?
何時間 君と会えないだけで
繋いだ手 ゆっくり離して
その温もり 消えないように